リンクス高麗川 LINKS KOMAGAWA

埼玉県西部を流れる高麗川の真の再生を夢見る人たちの集い

リンクス高麗川 かわら版 創刊号

リンクス高麗川 かわら版 創刊号 発行 2015年9月5日 

 

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きっかけは

 今年の春頃、天神橋から下流域に遊歩道ができるらしいという噂を聞いたことから。
市報でも議会報告でも見た記憶がないし、日高市のホームページを探してみても載っていない。川のことだから県の事業かもと埼玉県のホームページを開いてみたら、ありました。「川のまるごと再生プロジェクト」。明確に遊歩道を整備するとは書かれていませんでしたが、どうもこれらしい。この時は、2、3人で、この先どういうことになるのだろうと憂いているレベル。

ある日突然

 6月末のこと、今回施行される天神橋から高岡橋までの遊歩道計画を請け負った業者が、Tさん宅へ工事のための電源確保に電柱を建てることを承諾してほしいとやってきて、具体的な工事計画を説明していったことで、想像していたよりもずっと大がかりな土木工事が秋には始まるという、のっぴきならない状況であることが理解できました。まずは友人やこの土地が好きで住んでいる人たちに伝えることから始め、川のことを心配する仲間が少しずつ増えはじめました。憂いているだけの状態から、なんとかいい方法はないだろうかと前向きに、様々なことが動き始めました。いろいろなアイディアや情報も集まるようになり、そしてそれがまた人と人を繋いで広がり始めています。

あらためて川と向き合ってみる

 8月9日の日曜日、都合のついたメンバーで、出世橋から天神橋まで、川の中を歩いてみました。20年ぶりの川歩きに最初はとまどいつつも、しだいに高麗川の魅力に引き込まれていきました。蛇行した川筋が表情豊かな景観を生み出し、それぞれの瀬や淵を水は軽やかに、緩やかに、そして力強く流れていました。水の音、水面に反射する光、どれをとっても失いたくないものばかりだと思いました。高岡橋を過ぎたあたりから、しだいに堆積物が増えてきて、大量の土砂や砂利の山が川を覆い尽くし、流れの部分だけが深くえぐられたような姿に変わっていました。かつては、平坦な河原を歩いて上流へ行けたと記憶しています。天神橋が近づくにつれて、川の水は透明感を失い、下流域で見てきた豊かさが薄れ、天神橋から巾着田に至っては言葉になりません。川の中を歩くことをここで終了しました。

そして勉強会へ

 高麗川の流れの中を歩いてみて、その豊かさに感動しながらも、ここ数年の川の堆積物による地形の変化と環境の悪化も気にかかりました。一度人間で言うところの健康診断をしてもらったらどうだろうと、8月27日の木曜日、川の専門家集団、NPO法人グラウンドワーク三島から4人の先生方をお招きして、川の勉強会を開催しました。環境デザイン、農業土木、環境再生医、生物農業博士といったその道のスペシャリストたちです。折しも、知事と日高市宛に出した遊歩道工事についての質問状への説明をするために、県から3名、市から2名の担当者が来て下さり、総勢20名ほどで再び高岡橋から天神橋までの川歩きをしました。県の担当者から工事計画の詳細を説明してもらい、専門の先生方からは現在の高麗川の状況と今後の工事でどういう影響があるのか、色々な角度から指摘をしていただきました。

わかったこと

 まずは、今回の件にかかわらず、公共事業を行う場合、必ず住民との合意形成をするのが最低限のお約束で、計画段階からの説明会や広報活動も行わずに、着工しようとしていることは、今の時代考えられないようなケースだということ。遊歩道工事そのものより、そこに重機を運び込むための仮設工事に莫大な費用がかかり、それによって今ある自然を破壊して、ようやく工事に取り掛かることになるということ。遊歩道は途中で一旦切れて繋がっていない設計なので、人の流れを考えるとかなり無理があること。川沿いに露出している巨大ケヤキの根元の窪みは、遊歩道の設計上、砂利で埋められてしまうということ。そして最も心配していた川と生き物については、例えば樹木があり草が生えガラ石があり砂地があって川に至るような環境だと、それぞれの場所に、その場所でしか住めない生物が棲息している可能性があって、それを遊歩道で分断すれば乾燥化が進み、より強いものや帰化植物しか住めなくなってしまうということ。

これから

 今回、専門家によって指摘された問題点についてどう考えどういう結論に達したかという回答を、市と県に要望いたしました。重ねて遊歩道工事の合同説明会もお願いしています。市と県の担当者の方々と、同じ空間と時間を共有し、川の中を歩きながら専門家のお話を聞くことができたことは、今後も大事にしていきたい「市民と行政との連携」につながる最初の小さな一歩だったように思えます

 川についての勉強会は、始まったばかりです。今後も川歩きの会や水辺の生き物観察会を企画する予定です。 (I・Y)

NPO法人グラウンドワーク三島 http://www.gwmishima.jp/
 市民・NPO・企業・行政のパートナーシップによる実践的な環境改善活動を日本で最初に導入。
静岡県三島市を本拠地に、水辺環境の再生から始まった活動は環境再生から地域再生へと拡大し、毎年約3000名、約130団体が国内外から視察に訪れています。1996年の地域づくり団体自治大臣賞を皮切りに、近年の第1回地域再生大賞<大賞>(共同通信社)など数々の賞を受賞しています。