リンクス高麗川の誕生
都心からおよそ70km
緑豊かな渓流美を未だ残す高麗川は
刈場坂峠直下の森にその一滴を発し
やがて隅田川を経て東京湾へと注ぐ
高麗川の延長はおよそ42km。流域面積96.6km2。その川容は幾重もの蛇行を繰り返し、奥武蔵の多様な地形と風土、文化の形成に深く影響を与えています。
正丸峠(飯能市)より高麗川流域を望む。左奥にスカイツリー、右奥に都心の高層ビル群が望める。奥武蔵地方は森林環境の豊かな地で、川筋を通し隅田川と直結していたため、木材は西川材と呼ばれ、江戸へ大量に提供されていた。高麗川は江戸(東京)の人々の暮らしと、今も昔も切り離すことのできない縁で結ばれている。
かつて、高麗川は県内有数の清流を謳っていました。
水はあくまで清楚に、瀬音は柔らかに響きを奏で、
無尽蔵とも思える魚たちと、圧倒的な樹木に囲まれ、
人々は川に寄り添いながら暮らしていました。
ところが近年の荒廃した山林、人口の増加、河川の改修などの影響を受け、
高麗川の環境は急速に変化しています。
流域に暮らす人間として、その変容ぶりを間近に見てきた私たちは、
「以前の清らかな渓流、溢れる水辺の生き物たちとふれあい、
むせかえるような自然に包まれた高麗川を、今一度、再生しよう!」
という思いに、居ても立ってもいられずに集まるべくして集まった人たちによって、
ここに「リンクス高麗川」は誕生しました。
横手渓谷。(2点とも)豊かな水量、溢れる自然。水は命の源、魂の還る場所。
2015年8月14日(金)新月の日にささやかな産声をあげた「リンクス高麗川」の目指すもの。
それは、自信を持って未来へ引き継ぐことのできる真の高麗川の再生です。
そのために私たちは、勉強会と、フィールドでの活動を継続して行ないます。
共鳴者それぞれが個性や得意分野を持ち寄ることで、互いに響き合い、結び合い、
あらゆる視点から、同時多発的に、様々な展開を試みます。
けして諦めることなく、全ての人々が笑顔で暮らせる、高麗川流域の未来、
ひいては惑星・地球の未来を夢見て、粛々と、地道な活動を続けます。
原初に還る。荒ぶる神として、川は私たちの傍にある。畏れ敬い、感謝の念があって、初めて見える姿がある。清流橋上流・亀岩付近。
穏やかな瀬音が、人々の心に優しく響く。カジカガエルは共鳴し、ゲンジボタルは共振する。魚や鳥や、獣が集まり、人も自然も、共に唄い、踊る。天神橋下流。
川と川とを結び 人と人とを結ぶ
山と川 川と海 海と宙
人と川 人と山 人と神
市民と行政 個人と世界 弱者と強者
過去と未来・・・あらゆるものとの関係性を
紐解き 結び直すこと
リンクス高麗川 代表 新逹也 文・写真とも